▲写真左よりネオキャリアの堀内猛志様、BEYOND CAFE代表の伊藤朗誠。
今回お話を伺ったのは、「ともにえがく、みらいを」をコンセプトに人材領域のプロとして事業展開するネオキャリアの執行役員、堀内猛志さん。現代の就活のリアルや内定者・就活生がこれから人生を歩むにあたり、役立つ考え方をお伺いしました。
伊藤朗誠(以下、伊藤):僕たちも就活生と多く関わる中で、就活というものの変化が大きくなったと感じています。僕が就活していた2012年は、エージェントなどもそれほど多くなく、インターン制度も活発ではなかった印象です。学生にとってキャリアに関して考える機会が増えた中、今の就活市場に対してどのように考えられますか?
堀内猛志 様(以下、堀内さん):情報過多な社会だからこそ、選択肢が多すぎて選べない学生も多くなっていますよね。日本は経済的な伸びが低下しても、確約された安心・安全がある国なので、別に自分で決断しなくても、頑張らなくても生きていけるんですよね。ただ、アメリカは必ず上下を作り続ける。シリコンバレーで数十億数百億とお金を稼ぐ人もいれば、スラム街で生活をしている人もいる。差があるからこそ考えると思いますし、だからこそ決断が生まれるのではないかと思います。
伊藤:どうして徐々に、そういった風潮になってしまったのでしょうか?
堀内さん:親世代の影響は大きいと思いますよ。バブルを経験した親が今の子供世代の親だと思います。彼らは日本が一番楽しいときを経験し、自由にしたいという雰囲気はあると思います。仕事が嫌だったらやめてもいいし、キャリアに迷えば留学でも自由にしたらいいじゃん、と提案しますが、それで本当に子供が自立して飯を食っていけるのでしょうか。自分で決める機会もそうですし、最後までやりきる力も減ってしまうと思います。そういう意味で全体的に意志を持たない層は増えているんじゃないですかね。
伊藤:今の社会には自分で決めてやりきる力、つまりハングリー精神みたいなものが必要ということでしょうか?
堀内さん:そうですね。実際、子供1人に対する教育費用は上がっているので、頭が良い人は社会的に増えていると思います。ただ用意された選択肢の中から最適解を選ぶことはできますが、自分で選択肢を作りにいける人は減っているのでは?と感じます。例えば大学生のアピールポイントって、だいたい勉強・バイト・サークル・部活・留学・ボランティアの6個くらいに限られていると思うんです。でもこれって、普通に人生送っているとあらわれるものなので、何も決断してないともとれるんです。レール上で起きないことを目標と決めてやりきることが大切です。
伊藤:なるほど!ただ、今の時代で急に「ハングリー精神を持ってガツガツしようぜ!」みたいなことってなかなか難しいと思うんですよね。どうやって醸成すればいいのでしょうか。
堀内さん:環境を変えることが大事だと思います。元マッキンゼー日本支社長の大前研一さんも常々言われている有名な言葉ですが、人が変わる方法は3つしかないと。1つ目は時間配分を変えること。2つ目は住む場所を変えること。3つ目は付き合う人を変えること。例えば、部活でレギュラーになるために朝早く来て練習している人達がいると、それに触発されて自分も頑張ろうという空気感になったりするじゃないですか(笑)。要はそういう熱い想いを持った人たちが多くいる環境に身を置くことが大事だと思います。
あとは環境に身を置いた後に自分でどうアクションを起こすかも大事だと思います。
これはリーダーシップ研究の調査機関であるロミンガー社の調査で実証されていたのですが、人材育成の中で必要な要素は「70%が経験、20%が薫陶、10%が研修」なんですね。
つまり人は経験から学ぶことがほとんどで、環境に身を置いたことで満足せずに、そこでどのような挑戦をするか。ネオキャリアが若手にどんどん裁量を与えてチャレンジさせる理由はそこなんです。
伊藤:ネオキャリアで働いている私の後輩も、社会人4年目にして80人のメンバーを束ねる事業部長を勤めてます。若手に任せると言いながら実態が異なる会社も多い中、この規模になってもそういう風土があるのはいいですね。
伊藤:他にも就活の悩みとして「やりたいことがないから選択できない」という声も多く聞くのですが堀内さんはどう思われますか?
堀内さん:多くの人は、できるかできないかで考えて、今できることの中から夢を探しているからそうなるのではないでしょうか。自分の知らない99%以上の世界が、実は広がっているのだから、できることの中から探すことを止めるべきだと思うんですよ。もちろん強烈な原体験などから、絶対これ!というものが見つかっている方もいるとは思いますので、そういった方は例外です。
やりたいことがない人も『好きな芸能人と付き合いたい?』と聞けば、だいたい付き合いたいと言うんですが、これってやりたいことなんですよね。「今できないから」が入らなければ、やりたいことなんですよ。実際に芸能人と付き合っている一般男性はいるわけで、今が無理だったとしても、将来付き合うためにはどんな要素が必要で、そのためには何をしなければいけないかを分解して考えたら、意外に出来そうと思えるんですよね。これはかなり極端な例ですが、仕事に置き換えたとしても今の実力で判断することをまずはやめることも一つの考え方だと僕は思います。
伊藤:そうですね。あと「絶対やりたいと思わないと決めてはいけない」みたいな呪縛もありますよね。僕も正直はじめから人生賭けて教育を変えたいと思っていたかと言われると、はっきりYesとは言えなくて(笑)。ただまず勢いで決めて、走っていくうちに色々な経験を通じて確固たるものに変わって来たんですよね。なんでもやってみたら、という気持ちで何回もチャレンジを続けて欲しいです。
堀内さん:『何かを決める、やってみる、うまくいく、自信がつく』でワンセット、自信がつくまでやりきって、これを繰り返すことが大切です。うまくいかない、と積み重ねてしまうと、自信につながらなくて、やれる世界でやろうと思ってしまうんですよね。結果、自分が小さくなってしまいます。
あとは『目標と期日』は決めた方がいいですね。目標を決めずに走ってしまうと、達成したかどうかがわからないので、自信に繋がらないんですよ。とりあえずインターンを始めてみました!みたいな人が最近増えていると思うんですけど、目標を超えて、自信がついて、初めていいサイクルが回ると考えています。まず行動することはいいのですが、ぜひ皆さんには『目標と期日』を決めて行動して欲しいです。
伊藤:確かにそうですね。自信がつく経験があると、次の決断も乗り越えていける気がしますもんね。
堀内さん:人はスイッチが入るタイミングがあったかどうか、で変わると思うんです。それまでは何ともなくても、成功体験をもとにやりきれるようになったりするので、その体験を持てるか。
判断と決断は違って、判断は頭で決断は心。みんな基本的には、頭で考える判断行動をしがちなので、頭の中や周りを見て踏み出せなくなるんです。きっかけを手に入れるためにも、そこはちょっと変えた方が良いと思います。
伊藤:決断や、やりたいこと、夢中について、多く話してきましたが結局その根源って、どこから生まれるんでしょうか?
堀内さん:結局、好きって何?というところになると思います。正直、好きなものって音楽もスポーツも人のタイプもころころ変わるものなんですよね。で、その好きは『やってみる、できる、ひとよりできる、はまる、楽しい、好き』というステップで成り立つと思っています。
つまり、できることは楽しくなって好きになる。だからこそ、やりたいことがないと言っている人はできることを増やしたら見つかりやすくなると思います。仕事も最初から選ぶんじゃなくて、なんでもやってみる。まずはそれを人よりやって、周囲に認められるようになります。
伊藤:まずはできることを増やす。そのためには全力でチャレンジするってことですね。
堀内さん:思いっきりアクセル全開で進んで見たらいいんです。人生という答えのない道の中で、アクセル全開で進むのは怖いし、途中でブレーキを踏んで周りを確認してしまう気持ちはすごくわかります。ただ選択した段階では正解不正解はなくて、その先が重要です。選んだ選択肢を正解だったと思えるほどチャレンジすれば、結果何であれできることは増えます。そのできることを増やせれば好きなことも見つかりますし、やりたいことや夢中になれることも見つかるのではないでしょうか
伊藤:なるほど、ありがとうございます!最後に堀内さんの想いや、ネオキャリアの内定者に伝えたいことはありますか?
堀内さん:強い日本人をつくりたいと思っています。日本は技術や食事、エンターテイメントなど、こんなに良い国はそうそうないと思うんですよね。ただ、同時にプレゼンとアウトプットで他国に劣っているので、そこに改良の余地があると思っています。この部分で勝てる『国づくり』、つまり『人づくり』をしていかなければと思っています。
私が考える人づくりに必要なものは『スキル』『経験』『モチベーション』の3つだと思っています。その中でも『経験』と『モチベーション』は第三者に影響される要素が強いと思います。つまり組織要因ですね。これを読んでいる学生さんが入社する会社がネオキャリアでも、そうでなくても、やったことがないもので、かつ責任が伴うものにチャレンジし、自信をつける人が多い組織が増えればいいなと思います。
「まずはできることを増やすこと。選択を恐れずに突き進めば自ずと道が見えてくる」と話す堀内さん。エネルギーを持っている人に環境を与えられる場所としてネオキャリアはこれからも成長していくのでしょう。堀内さんのように、決断の意志を持って、かっこいい生き方へアクセルを踏んでみてはいかがでしょうか。