B
E
Y
O
N
D
C
A
F
E
View
10,637

[vol.2]サイバーエージェント採用責任者と語る!リーダーに必要な「素質」と「積み重ね」

Detail
2018/09/05
特集

▲写真左よりBEYOND CAFE旧代表取締役の杉岡侑也、サイバーエージェント新卒採用最高責任者の小澤政生様、

BEYOND CAFE新代表の伊藤朗誠

挑戦する若者と接することが多いサイバーエージェント新卒採用最高責任者の小澤政生さんは、次世代のリーダーについてどのように考えているのだろう。今回はBEYOND CAFEで代表を務めてきた杉岡侑也、新代表の伊藤朗誠が小澤さんに「新卒採用の魅力」や「リーダーの素質」についてお伺いしました。

 

白地のキャンバスに違う絵を描く――新卒採用という仕事の魅力

 

2010年にサイバーエージェントへ新卒で入社し、2011年に退社。自営業の手伝いと、証券会社の勤務を経て2012年にサイバーエージェントに再就職するとの異例の経歴を持つ小澤さん。
再就職して以降は、サイバーエージェントで主にエンジニアの新卒採用を担当、現在は最高責任者を務めています。これまでの約7年間で小澤さんが話した学生はなんと15,000人以上。採用活動を通して、様々な学生と向き合ってきたそうです。

伊藤朗誠(以下、伊藤):新卒採用の担当を7年も本気でやりきる人ってなかなかいないですよね。

小澤政生(以下、小澤さん):そうなんですよね。気付けば7年もやっている人って、社外に目を向けてみても私くらいでした。最近知ったんですけど、だいたい2~3年くらいで採用から外れる方が多いようです。たしかに、思い返せば3年目の時に、別の事業に興味はないかと誘われました。

伊藤:その時は、お断りしたんですか?

小澤さん:そうですね、採用の仕事ってやればやるほど「来年はもっとこうしたい」との欲が出てくるんですよ。1年かけて色づけて来たキャンバスが白地のキャンバスにリセットされて、また色づけていくおもしろさというか…それでまだ続けたいと思ったんです

杉岡侑也(以下、杉岡):でも、7年も続けるなんて個人の能力と自分の出したい世界観がマッチしないとモチベーションが続かないと思うんですよね。もともと、自分の出したい世界観と採用という仕事が成し遂げたい世界観ってマッチしていたんですか?

小澤さん:そうですね。採用という仕事への興味はもともと強かった気がします。

大学時代、僕テニスサークルの副会長をやっていたんですね。新入生を集める時に、夜な夜な部員のシフトを組みながら「どうやったら人が来るんだろう」「もう1回来てもらうには」ということを考えていました。そこまでやる必要はないんですけど、夜な夜なやっていて「なんて大変なんだ」って思いながらも楽しかったんですよね。

今振り返ると、この時の体験が採用を続けている原点でしたね。

杉岡:なるほど。「採用の仕事が好き」で継続されているのにも納得です!

僕自身は、先ほどおっしゃっていた、「色塗りしたキャンパスが白になる」仕事は、成長したい人にとってデメリットの多い環境だと思っていたんです。成長したい人は、PDCAサイクルが速い環境にいる方が良いと思うのですが、採用って長いPDCAを回すことになるじゃないですか。

だから、長期のPDCAの中でも、小澤さんのようにしっかり成長していけるというのを知れて、目から鱗が落ちました。

小澤さん:PDCAの速さで言うと、会社の環境に恵まれているなと思っています。やはりサイバーエージェント自体の事業内容の変化が、すごく速いんですよ。だって、入社した時は広告を中心とした会社だったはずなのに、ゲーム事業が拡大し、今はAbemaTVに力を入れているくらいですから!

そういう意味では、年代によって学生たちに伝えていくメッセージも「どうやったらおもしろさが伝わるかな」と考えて変化しますし、事業の幅と同じく広い選択肢を持ちながら採用ができるんです。ずっと同じ鉛筆でキャンバスに描いていたらおもしろくないけど、絵の具もブラシも変えていける、だからここまで続けてこられたのでしょうね。

 

小さな決断を積み重ねることがリーダーへの第一歩

 

杉岡:小澤さんは、昔からグイグイ人を引っ張っていけるタイプの性格でしたか?

小澤さん:いや、どちらかというと「人前に出たい」タイプではありませんでした。ただ、組織をよくするためにやるべきことがあったらやればいいとは考えていましたね。

今マネージャーを務めているのは、サイバーエージェントが大切にしている「とりあえずやってみる」「自分で決めていく」ということが苦手じゃなかったから。自分の言葉で説明ができて、自分の意志で決められて、決めたことに責任を持てるなら、誰でもリーダーになれるんじゃないかなと思います。

杉岡:リーダーとして求められるのは、決断がどれだけできるか、ということなんですかね?これって外部要因としては決断できるポジションに就くことで環境づくりできると思うんですけど、内部要因というか心持ち的にはリーダーになるために何が必要だと思いますか?

小澤さん:極論、毎日何を食べるかということすらバシッと決められたらいいと思うんですよね。小さな決断を積み重ねていくことで大きな決断の時にも生きてくると思うんです。

僕自身、予算や採用人数が何も決まっていない状態から「関西のエンジニア採用をよろしくね」とだけ言われ、大きな舞台で試せる機会をもらった時に最初は悩みました。でも、そんな僕を見て、上司が「すべってもいいから、小さなことから全部やってみなよ」って言ってくれて、その言葉に支えられました。

杉岡:なるほど。小さな決断を積み重ねることがリーダーを育てるということでしょうか?

小澤さん:僕はそうだと思っていて、メンバーに意見を求められたときも、本人で決断できることであればあえて放置します。組織の中でメンバー一人ひとりが主体性を持って、リーダーシップを発揮する機会が大切だと思うんです。

本人がどれだけ張り切って結果を出すかということが、一番大事な変数になる。だから「ここの部分で、ぎりぎりまでやっていいよ」ってまかせて、あとは放置。もちろん学生や会社に迷惑がかかりそうなときは言いますけどね。

伊藤:「放置」をするというのは、すてきな上司と巡り合えたからこそ、ミラーリングできたんでしょうね。

小澤さん:そうですね。もともとは人に任せるのが苦手で、「自分でやった方が速いだろう」と全部やっちゃいたいタイプだったんですよ。でも、また別の上司に「マネージャーはメンバーを選べない、メンバーもマネージャーを選べない。だから、どんなメンバーが来ても、猛獣使いになってサーカスを盛り上げろ」って言われた経験も大きいですね。その言葉が腑に落ちて、人に任せるようになりました。

 

挑戦する人に気付かせる場をつくりたい

 

杉岡:次世代のリーダーになるために必要な入口の部分って、何かありますか?

小澤さん:有言実行する力ですかね。「とりあえずやってみること」が大切であり、自分で「やりたい」と言ったことを、どこまできれいにやれるようになるまでに何回トライしたかっていうのがリーダーとしての入口かなと思います。

実際、学生さんの中には「これをやりたい」って話せる人はすごく多くいるんですよ。その一方で、「じゃあ、やりたいことのために、どういう努力をしているの」って聞くと答えられない人がほとんど。恐らくそれでは成長していくことはできません。

伊藤:僕の原体験なんですけど、学生時、予備校の先生に「なんで勉強するのか語れない人が、俺の授業うけても意味ないから来るな」って言われて、2週間授業に出られなかったことがあるんですよね。

それまで、他人のものさしと自分のものさしを重ねていたのですが、なんで「大学に行くのか」を考えて先生にアウトプットしました。その時に、初めて主体的に考えてチャレンジしていくおもしろさを知れたんです。だから、若い人がチャレンジできる場、「こんな目標を持ってる人がいるんだ」とミラーリングできるようなプラットフォームを作りたいんですよね。

小澤さん:きっかけって大事ですよね。結局、受験でも仕事でも「なんでそこにいきたいのか」のきっかけがないと迷走して失速するので、自分にない基準点をつくれるって、すごく大事なことだと思っています。だから、BEYOND CAFEのような場所があるというのは、今の学生さんは恵まれてますよね。

伊藤:たしかに僕らみたいに、スペースを一つひとつ活用して、大人が大人を巻き込みながらやる場所はあまりないですよね。よくあるベンチャーのモデルではなくて、地道にじわじわやっていけたらなと思っています。

杉岡:そうですね。小澤さんは若い人に限らず、次に挑戦しようとしている人に対しての働きかけって何が重要だと思っていますか?

小澤:挑戦したい人たちが、自分に合った会社を冷静に判断できる場所を増やすことですかね。採用の仕事でいろんな学生さんに会っていると、学生が行きたいといっている会社よりも別の会社、または弊社の方がいいんじゃないかなと思うこともあるのですが、人事の立場だとそれを諭すのが難しいんです。こちら側が採用活動で出会う前に、最初に気付くことができる場があればいいなと思っています。

杉岡:なるほど。そんな場所づくりを強化するために、僕たちも尽力している訳なんですが、ここで伊藤さん、今後に向けて抱負をいただけますか?

伊藤:僕自身の思いとして、そもそもチャレンジしていく文化や人を増やす文化プラットフォームを作って、さらに共感者を増やしたいと思って会社を作りました。だから全国の学生にいろんなキャリアがあることは、もちろん伝えていきたいんですけど、直近では共感してくれる人たちを増やしていきたいです。

杉岡:僕らは小澤さんとの話にもあった場所づくりを加速するために代表交代という形を選びました。代表交代って、ちょっとネガティブな印象かとも思うのですが、今回はまったくそうではないんです。

僕は社長という名ではありましたけど、もともとの創業者は伊藤だし、これまでの実績も伊藤が8割作ってくれたようなものだと思っています。そんな伊藤が全体の舵をきっていくことで、僕自身立場が変わって別の切り口から、さらに大きな高みを目指してBEYOND CAFEに貢献したいんです。

小澤さん:おっしゃる通り、社長が変わるというのはいろんな憶測を招きがちですが、杉岡さんには新しい事業への熱量が、伊藤さんには学生さん向けの事業に対する高い熱量があるからこそ前向きだなと感じました。会社全体で強みを掛け算して、組織をもっと大きくするタイミングでもありますしね。応援しています!

関連記事

おすすめ記事

B E Y O N D