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今回のセミナーのテーマは「メディア・広告業界」について。メディアや広告といえば、芸能人やCMといった華々しい業界のイメージがある人も多いのではないでしょうか。第18回は、毎年多くの就活生が憧れるこの業界について、インターネット広告事業やグローバルで50以上ものメディア運営事業を展開するOath Japanの代表取締役 カントリーマネージャーの坂下さんがお話してくれた内容をレポートします。
広告業界の市場規模は電通の発表するところによれば、2017年度で約6兆円。さらにインターネット広告の割合は年々増加していて、市場は拡大している傾向にあるそうです。まずは坂下さんがインターネット広告業界の仕組みについてわかりやすく説明をしてくれました。
インターネット広告の場合は広告主が広告会社へ広告を出したい、と依頼。さらに広告会社がメディアレップというメディアの広告枠の相談窓口と交渉して広告を出すか、DSPやSSP(※1)という仕組みを使って広告を出稿します。
出稿する広告の種類も様々で、たとえばサイトの四角い枠などで見かけるバナー広告。
上の画像の赤枠の部分ですね。この部分は「年齢21歳くらいの男性、以前に◯◯というキーワードで検索をしていて購買意欲が高い」といったユーザーのニーズにあわせた広告が表示されるように設計されています。もちろん個人情報は守られているので、誰がどういった検索をしているか、というところは広告主も広告代理店もわかりません。
ちなみにこのmsnは日本マイクロソフトが運営し、坂下さんの会社が広告枠を販売されていて、トップページは月間2,000万人以上の方に見られているんですよ。
さらにリスティング広告というものもあります。
たとえば今「就職活動」というキーワードで検索したものに対して、一番上に「広告」と表示される部分。これがリスティング広告です。検索したユーザーのニーズにあわせて、広告を表示しています。1クリック◯円、という金額が設定されていて、広告主に料金が発生します。
他にも様々な広告の種類があり、このような広告をうまく使いながらマーケティングをして、顧客やファンを増やす、というのが大きく言えばインターネット広告業界のお仕事。坂下さんは「広告主も商品の認知を向上し、興味を持ってもらい、さらにブランドを好きになってもらって買ってもらう」、この流れのマーケティングを担うのが広告の仕事だと説明してくれました。そしてここで終わるのではなく、最後は「長い間ずっと大好きになってもらえるか」というところが大切な仕事だと話します。
インターネット業界には広告枠を持つメディア運営の人、どんな人に広告を出すかマーケティングをする広告担当の人、広告用のコンテンツを作る人など様々な人がいます。さらに、坂下さんの会社Oath Japanではテクノロジーメディア TechCrunch Japanを運営しており、「TechCrunch Tokyo」という2,500人規模のイベントを開催したりすることもあるそうです。
※1 DSPやSSPはすごく簡単に説明すると、広告枠のオークションのようなイメージです。詳しく知りたい方はBEYOND CAFEで聞いたり、インターネット広告の本や参考書に説明が載っていますよ。
先ほども少しお話にでましたが、広告業界の仕事、と一口にいっても営業やクリエイターなど仕事の内容も違い、さらにインターネット広告やメディアといった分野も様々。就活をしていると、「自分がどこを目指していいのだろう…」と思ってしまうかもしれませんね。
坂下さんは、広告業界に興味を持つ人はまず「何を目的に広告業界に入りたいかが重要」と話します。マーケティングを考えてキャンペーンを立ち上げたいのか、そのマーケティングを活用して実行していきたいのか、広告が掲載されるメディアを作っていきたいのか。様々な仕事ができるからこそ、広告業界の中でも自分のやってみたいことや興味のあることをまず見つけるのが大切だそうです。
さらにセカンドステップとして、周りが価値を感じることは何かを見つけるのも良いということ。自己分析なども参考になりますが、自分がここが強い!テンションがあがる!ところと周りが価値を感じることが違ったりする場合も。
営業として入社してみたら、クリエイティブな仕事が向いていたり、意外と数字に強くてデータの分析に向いていたりすることもあるそうです。まずは飛び込んで、自分が面白いと感じること+周りが価値を感じているかを見ると良いキャリアステップが歩めると坂下さんは教えてくれました。
では、どんな人が広告業界で活躍していけるのか。坂下さんは「とにかく守りに入らず、一歩前に踏み出せること」がこの業界で大切だと言います。
コンサルティングに近い海外の広告会社の仕事に比べて、広告のマージンモデルをとる日本。日本と海外でもビジネスモデルが違い、さらに外資系の広告主が日本企業と仕事するようになった背景から、日本のビジネスモデルにも変化がみられます。さらに、今後メディアやユーザーの動向が変われば広告の形も変化することが考えられます。
このような違いや変化、時代が流れる中でもリーダーシップを発揮できる人財は非常に求められるということです。ちなみに、この人財になるためには「普遍的なスキルセット」を持つのがおすすめだそう。課題設定能力や仮説検証、それに対するコミットメントや実行力を磨いていくと、たとえば広告主にも「ユーザーがこのような行動をする場合、こういった広告を出すと効果的」と説得力のある提案を実行していけるようになるそうですよ。
様々な変化の中に身を置いて、人の目に触れるものを作っていける広告業界。変化した回数が成長と感じられる人にとっては、とても面白い業界といえそうです。また、巨匠のクリエイターやエディターと向き合う人間力をためされたり、最新のテクノロジーに対して学びの多い業界でもありそうです。坂下さんも「数字に責任を持つ仕事がしたかった」というように、広告業界は学びも多く、やりがいのある業界と言えそうですね。
登壇者プロフィール
Oath Japan 代表取締役 カントリーマネージャーとして、Oath Japanのビジネス戦略と経営を統括。
2015年8月、Microsoft/AOL戦略的パートナーシップ締結に伴い、AOLプラットフォームズ・ジャパン(現Oath Japan)にアドバタイジング&オンライン事業本部長として入社。その後COO (Chief Operating Officer)職を経て、2016年10月、AOLプラットフォームズ・ジャパン株式会社の米AOL(現Oath)完全子会社化に伴い、代表取締役 カントリーマネージャーに就任。
Oath Japan入社以前は、日本マイクロソフト株式会社に約10年間在籍し、広告商品企画部プロダクトマネージャー、トレードマーケティング部長、プロダクト&ソリューション部長を歴任。それ以前は、KDDI株式会社にて法人営業職に従事した後、米国シアトルへ留学。その後デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社、株式会社マッキャンエリクソンへ出向し、欧米テクノロジー会社との契約交渉及び日本でのビジネス立ち上げ、オンラインメディアプランニング業務に携わった。
次回のトップセミナーは3月28日開催の【 IT会社社長が語る「労働人口減少時代における働き方とは」トップセミナー vol.19】。
ドリーム・アーツ代表取締役の山本 孝昭さんがIT業界に必要な人材についてお話してくれます。